欧州連合(EU)主要国は米中の間で中道路線を歩むことを目指している。だが、米英豪3カ国が先週発表した新たな安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」の創設、および豪仏の潜水艦共同開発計画の破棄という想定外の展開は、これがいかに困難な道であるかを浮き彫りにした。EU加盟国はおおむね、米国を最も緊密な同盟国だと考えているが、中国に関する利害では米国と一枚岩ではない。EUは輸出市場であり、かつサプライヤーでもある中国との間で深い経済関係を築いている。仏独が率いるEU主要国はこれまで、強引さを増す中国への懸念と政治的な関与をうまく両立させようと腐心してきた。欧米関係がぎくしゃくしたドナルド・トランプ前米大統領時代のように、欧州諸国は再び長年の同盟国である米国と、財の貿易でEU最大のパートナーになった中国との間で、どちらを選ぶか踏み絵を迫られている。
米中間で揺れるEU、中道志向の限界が露呈
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