日本で初めてスッポンの養殖を開始。カレーやサプリなど新商品を次々と開発

――丹念に育てているスッポンは一味違うのでは？

服部　やはりじっくり育てている分、味の深みやうま味は全く違ってきますね。生臭さや泥臭さもありません。鍋にしてもスープにしてもおいしいですよ。しかもカロリーが低く、必須アミノ酸やコラーゲンも豊富です。

――理想的な食材ですね。

服部　にもかかわらず、スッポンに対して「生臭い」とか「泥臭い」といったマイナスのイメージを持っている方が少なくありません。

　また、主に男性が精力を付けるために食べるものとしてのイメージが強いので、何とかその印象を払拭して、「スッポン＝おいしい」ことを広めたい。

　そこで近年は、気軽にスッポンを召し上がっていただけるような新商品の開発に力を入れています。

――どんな商品があるのですか？

服部　今の一押しは「すっぽんスープカレー」です。和風仕立てのスッポンスープをベースに、チキンスープと鰹昆布スープの三つを混ぜ合わせることで、こくのあるカレーに仕上がりました。1食101キロカロリーと低カロリーなのも特徴です。

　また、サプリメントの「まるごとすっぽん」は商品名の通り、スッポンの身から甲羅までを丸ごと酵素で溶かして粉末にし、粒状にしました。他にもスッポン鍋やスープ、玄米雑炊などもあります。

――売れ行きはいかがですか？

服部　主にカタログ通販やネット通販で販売しているのですが、カレーやサプリメントが好調ですね。両方とも既に多くのリピーターの方がいまして、カレーは年間数千パックが売れています。

　通販会社で商品を取り扱っていただけるようになったのは、遠州信用金庫さんが縁を取り持ってくださったからです。遠州信金さんにはとても感謝しています。

――スッポンは、飲食店に卸しているのですか？

服部　はい。主に東京や京都の料亭に卸しています。しかし、スッポンはよいだしが出るので、どんな料理にも使っていただけます。お客さまが、新たなお客さまをご紹介してくださったおかげで、現在は、フレンチやイタリアン、中華料理など、多くの高級レストランで弊社のスッポンが採用されています。

――果敢に攻めていらっしゃいますね。

服部　弊社は長い歴史を持っていますが、それにあぐらをかかず、チャレンジし続けることが大切だと考えています。新商品の開発や販路の拡大はもちろん、もっと多くの良質なスッポンを安定供給できるように、養殖池を整備しているところです。一人でも多くの方に、スッポンのおいしさを体感していただきたいですね。

（取材・文／杉山直隆、「しんきん経営情報」2021年10月号掲載、協力／遠州信用金庫）