レーシックブームの顛末

 アスリートや著名人たちが手術を受けて2000年代初頭に流行したレーシックだが、その後は急速に症例数(手術数)を減らした。16年に慶應義塾大学医学部眼科学教室の根岸一乃教授(当時は准教授)がまとめた推計によると、08年に45万件あったレーシックの症例数が14年には5万件に激減している。

【参照】
根岸一乃. “屈折矯正手術の現状”. 日本眼科医会. 2016. https://www.gankaikai.or.jp/press/20160616_3.pdf,(参照 2021-09-26)
“レーシック 激減 ピーク時45万件→6年後5万件 集団感染や眼鏡人気影響?”. 西日本新聞. 2016. https://www.nishinippon.co.jp/item/o/277746/,(参照 2021-09-26)

 リーマンショックによって経済的な理由でレーシック手術を選択しない人が増えたともいわれているが、流行が去った一番の要因は「レーシックはリスクが高い」という認識が広まったからだ。あるクリニックでレーシック手術後に細菌性角膜炎などを発症する患者が多数出る集団感染事件が起こったことや、消費者庁がレーシック手術を安易に受けることを避けるよう注意勧告を行ったことが大きく影響している。現在は安全性が高いとされているレーシックだが、いまだにレーシックを危ぶむ認識は払拭されきっていない。

【参照】
“レーシック手術を安易に受けることは避け、リスクの説明を十分受けましょう!”. 国民生活センター. 2013. http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20131204_1.html, (参照 2021-09-26)

レーシックのデメリット

 レーシックの大きなデメリットは「元に戻せない」という点だ。角膜を削ってしまうため、見え方に違和感を覚えたり不具合が出たりした場合も元に戻すことはできない。角膜の形状を本来の形と変えることで、見え方の質やコントラスト感が変わってしまったという声も多い。

 人によっては、術後に近視戻りが起きたり、夜間に光がにじんで見えたりまぶしく感じたりするハロー・グレアという症状が出たりする。また、手術後数カ月から1年ほどドライアイになることがあるのもデメリットだ。