9.11同時多発テロからちょうど20年がたった今年。長らく駐留していた米軍が8月いっぱいでアフガニスタンから撤退することになると、武装勢力タリバンは瞬く間に首都カブールを制圧。タリバン幹部は「アフガニスタンは民主主義国家ではない」と明言し、アフガニスタンの民主化は夢と消えた。こうした中、既に殺害予告や脅迫を受け、おびえて暮らす人々がいる。アフガニスタンの前政権で働いていた女性たちや、活動家、ミュージシャンなどだ。(フリーライター 北本祐子)
9.11テロから20年、アフガニスタンの変化
この秋、2001年の9.11同時多発テロからちょうど20年の節目を迎えた。ネット上では当時ニューヨークにいた人がそのときの心境や状況をつづったり、失われた命の尊さを振り返ったりする投稿が行われていた。あれから20年、あの瞬間に失われた6000人の命と同じく、今まさに命の危機にさらされている人たちがアフガニスタンにいる。
米国は9.11同時多発テロの犯行を国際過激派集団「アルカイダ」 によるものと断定。その後、当時、アフガニスタンを実質的に支配下に置いていた政治組織「タリバン」への軍事攻撃を行った。民間人を含めた大きな犠牲を払いながらもタリバンからの政権奪取、2001年からのカルザイ暫定行政機構議長(2002年に大統領)下での新たな国づくりを後押ししてきた。
米軍がアフガニスタンに駐留したことによって大きく変わったのが、これまでの伝統的社会では制限されてきた女性の教育や社会進出だ。それまでは学校に行かせてもらえなかったり、まだ幼いまま結婚を強いられて退学を余儀なくされたりと人生の選択肢がなかった女性たちが、教育を受け、職業に就くことが可能になり、社会の担い手の一人となる自由を得られるようになった。今回の首都カブールの陥落により20年の時を経て、再びタリバンの支配下となったアフガニスタンからは、多くの人が脱出を望んでいるが、タリバンの規制や隣国の難民流入拒否もあり、難しい状況下にある。特に女性は職業人として表舞台に出ることは制限された。