衆議院選挙における公約の柱の一つとして、立憲民主党が「年収1000万円程度まで所得税を1年間実質免除する」という政策を掲げている。そこで額面年収別に所得税を試算し、どれくらい私たちの手取り収入に跳ね返ってくるのかを考えてみた。その政策効果とはいかほどか?(ファイナンシャルプランナー〈CFP〉、生活設計塾クルー取締役 深田晶恵)
年収1000万円以下の所得税を免除すると
いくら得になるのか?
10月19日公示、31日投開票と予定される衆議院解散・総選挙に向けて、連日各党から公約が発表されている。
中でも立憲民主党の枝野幸男代表は、9月26日の演説でいち早くコロナ禍での経済対策として「年収1000万円程度まで所得税を1年間実質免除する」という政策を掲げた。そして翌日には衆院選の公約として打ち出す経済対策の柱の一つとして公表したのだ。
この公表の当日、インターネットテレビ「ABEMA」のニュースチャンネル「ABEMAヒルズ」から「公約が実行された場合、経済は活性化するのか」といった内容の取材依頼があった。若い担当ディレクターの考えた質問にセンスがあり、思わず取材を引き受けることになった。「ダイヤモンド・オンライン」読者のみなさんとも共有したい。
ディレクターの質問は次のようなものだった。
(1)年収1000万円以下の所得税が1年間免除になると、経済は活性化するか
(2)年収1000万円以下の人、1000万円超の人が納めている所得税はいくらか
(3)果たして、年収1000万円超の世帯は「お金が余っているのか」
質問内容は、ニュースを見る人目線で考えられている一方で、政策の効果についても言及している。着眼点が面白い。20代の女性ディレクター、やりますね!
コンタクトが初めてのメディアからの仕事の場合、引き受けるかどうかはディレクターや編集者の質問力で判断することが多い。今回の質問内容は「面白そう。やってみたい」と思わせるものだった。減税対象としている「1000万円以下」のみならず、対象外となる「1000万円超」にも関心を持っている点が光っている。
テレビなので依頼のあった当日中のインタビューを希望しており、時間のやりくりが大変だったが、サクッと所得税の試算をしてオンラインでインタビューを受けた。
一部の人の所得税を免除すると経済は活性化するのかという最初の問いは、後ほどコメントすることにして、まずはみなさんが気になる「年収別の所得税」を見てみよう。