菜食主義という生き方、高級和牛「はるこ」が教えてくれた命の重み写真はイメージです Photo:PIXTA

地球温暖化などの環境問題をきっかけに肉食をなるべく控えたり、完全に菜食主義になる人もいるという。ネット上では何かと過激な反発が起こりがちな問題ではあるが、肉が大好きだった筆者に最近、己の肉食をふと顧みることになったきっかけがあった。(フリーライター 武藤弘樹)

菜食主義は増加傾向
市場の動向にも注目集まる

“ベジタリアン”という言葉は、19世紀半ばに英国で広まったライフスタイルの運動らしく、現代日本にも定着している。そして最近では動物由来の食品(乳製品や卵、蜂蜜など)を口にしない完全菜食主義の“ビーガン”というライフスタイルも知られ始めた。
 
 しかし、上記に「定着」や「注目」という言葉を用いはしたが、「そういったライフスタイルがある」と広く認知されてはいるものの、多くの人が実践しているわけではない。ある調査(2019年)によれば、国内のベジタリアン・ビーガンの割合は5.7%となっている。
 
 これは一見“少数派”と感じられる数値だが、日本の人口を1.2億人とした場合、約700万人がベジタリアン・ビーガンであるとも考えうるから、それを考えると「結構な人数がそうなのだ」とも思わされる。また、ベジタリアン・ビーガンの割合は近年増加傾向にあり、ベジタリアン・ビーガンが形成する市場も注目されつつある。

 筆者は完全な雑食であり、多くの人と同様に肉を食べる。肉のうま味は他の食品には代えがたく、自分が菜食主義になる未来はまったく想像できない。
 
 しかし、先日知人がふとしたきっかけで急にビーガンとなり、また「肉食とは」を改めて問いかけられるような身近な個人的体験をしたりもし、ひょっとすると、自分にとっては極めて縁遠く感じられていた“菜食主義”という生き方は、実はすぐそばにあるのではないか、と思い至った。この気づきが新鮮であったため、上記のエピソードを交えながらここにシェアしたく思う。
 
 なお本稿では肉食・菜食のどちらも否定する気はないことを、あらかじめ心にお留め置き願いたい。