韓国で120万部のミリオンセラーとなった話題書がある。『どうかご自愛ください ~精神科医が教える「自尊感情」回復レッスン』だ。精神科医である著者が「自尊感情(≒自己肯定感)」の回復法を指南した一冊である。「些細な事を気にしすぎる」「パートナーとの喧嘩が絶えない」「すぐに人と比べて落ち込む」「やる気が出ない」「不安やゆううつ感に悩んでいる」「死にたいと考えてしまう」など、多くの悩みは自尊感情の低下が原因だと本書は伝えている。そして、その回復法を教えてくれる。本書の日本版が、今年7月に刊行となった。日本でも口コミで話題を集めている本書の一部を、今回は特別に紹介する。
自分を信じられない人は、
相手を信じられず、別れを恐れる
自尊感情が低く、自分の魅力や能力を信じられない人は、「どうしてあの人は、私を愛していると言えるのだろう?」と相手を信頼できません。既婚者の場合は、配偶者を疑って過度に束縛する「オセロ症候群」に発展します。
また、配偶者より経済力が劣っているとか、性的能力を喪失したなど、何かしらのコンプレックスがあって自尊感情を下げてしまった場合にも、相手を疑いやすくなります。その心理を分析するなら「自分がこんなにダメな人間なのに、妻が(夫が)そばにいてくれるわけがない」という思いが根底にあるからです。
彼らはたいてい、自分の劣等感や心の状態を顧みず、相手のせいにして問題を解決しようとします。はた目には相手を信じられずに苦しんでいるように見えますが、実際は自分を信じられずに苦しんでいるのです。
いわゆる悪い恋人から離れられないとか、若い女に貢いで財産を使い果たすような人たちの深層心理にもこのような問題が隠れています。
自分に自信がないため、もしこの人が離れてしまったら私を受け止めてくれる人はいなくなるという錯覚に陥って別れられないのです。死ぬほど愛しているからではなく、別れが怖くて関係を続けているに過ぎません。
(本原稿は、ユン・ホンギュン著、岡崎暢子訳『どうかご自愛ください』からの抜粋です)
自尊感情専門家、ユン・ホンギュン精神健康医学科医院院長
中央大学校医科大学を卒業し、同大学医科大学院で博士課程を修了。京郷新聞、韓国日報、月刊生老病死などへの寄稿のほか、FMラジオ交通放送「耳で聞く処方箋」などの相談医としても活躍。韓国依存精神医学会、韓国賭博問題管理センター、中央大学ゲーム過没入センター、性依存心理治療協会、校内暴力防止のための100人の精神科医師会などで活動。主に関心を寄せている分野は「自尊感情」と「依存」。初の著書『どうかご自愛ください ~精神科医が教える「自尊感情」回復レッスン』が韓国で120万部のミリオンセラーに。