韓国で120万部のミリオンセラーとなった話題書がある。『どうかご自愛ください ~精神科医が教える「自尊感情」回復レッスン』だ。精神科医である著者が「自尊感情(≒自己肯定感)」の回復法を指南した一冊である。「些細な事を気にしすぎる」「パートナーとの喧嘩が絶えない」「すぐに人と比べて落ち込む」「やる気が出ない」「不安やゆううつ感に悩んでいる」「死にたいと考えてしまう」など、多くの悩みは自尊感情の低下が原因だと本書は伝えている。そして、その回復法を教えてくれる。本書の日本版が、今年7月に刊行となった。日本でも口コミで話題を集めている本書の一部を、今回は特別に紹介する。

精神科医が教える、脳から「怒り」を収める方法Photo: Adobe Stock

感情を抑えようとして
危険な行動を取る人たち

 人間の脳と体は、生きていくために感情を絶えずコントロールしています。しかし、感情の調節がうまくできない人も少なくありません。たとえば、“行動化”が習慣になった人もそうです。脳が興奮すると同時に手足や声帯まで興奮するような人です。

 感情がたかぶると脳のもっとも深い所にある扁桃体(感情中枢)が過剰に刺激され、体はその刺激を分散させようと行動します。つまり本人が意識していないのに体が動くというわけです。問題は、この体の動きが過激なときです。人を威圧する、自分自身または他人を傷つけるなどの行動が習慣になると恐ろしい結果を招きます。

意図的に体を動かせば、
平常心を取り戻せる

 一方で、この仕組みを利用することもできます。感情がたかぶったときに体を動かすのです。すると、小脳が活性化されて感情中枢は安定を取り戻します。深呼吸をしたり、山に登って叫んだりすると気持ちが落ち着くのもそのためです。

(本原稿は、ユン・ホンギュン著、岡崎暢子訳『どうかご自愛ください』からの抜粋です)

ユン・ホンギュン
自尊感情専門家、ユン・ホンギュン精神健康医学科医院院長
中央大学校医科大学を卒業し、同大学医科大学院で博士課程を修了。京郷新聞、韓国日報、月刊生老病死などへの寄稿のほか、FMラジオ交通放送「耳で聞く処方箋」などの相談医としても活躍。韓国依存精神医学会、韓国賭博問題管理センター、中央大学ゲーム過没入センター、性依存心理治療協会、校内暴力防止のための100人の精神科医師会などで活動。主に関心を寄せている分野は「自尊感情」と「依存」。初の著書『どうかご自愛ください ~精神科医が教える「自尊感情」回復レッスン』が韓国で120万部のミリオンセラーに。