北朝鮮が切望する
日本の「次のトランプ」

 トランプ氏は周囲やメディアが狂人扱いする中で、ミサイル発射をちらつかせる金正恩氏を「リトル・ロケットマン」などとバカにした。これに対して、金氏も「老いぼれ」「おじけづいた犬」などと応酬。ジャーナリストの中には、「第三次世界大戦の危機」などと騒いだが結果として、2人は蜜月となった。

 トランプ氏は手のひら返しで「とても頭がよく、才能がある」「彼のようにタフに国家の運営をしてきた人物は1万人に1人」と絶賛。互いに連絡を取るようになった。トランプ氏が負けて、米朝関係は振り出しに戻ったが、これこそが金正恩氏が理想とする「ミサイル外交」の姿だ。強い外敵とバチバチ火花を散らし、緊張を極限まで高めて、内政でも外交でも「やはり金正恩がいないとダメだ」というブランディングをするのだ。

 そう考えていくと、金正恩氏が日本の選挙のたびにミサイル発射をしているのは、一体誰を「援護射撃」するためなのか、という構図が見えてくる。北朝鮮に厳しく、拉致被害者奪還を叫び、厳しい制裁を強く求めていく。そう、安倍元首相をはじめとした保守系政治家の皆さんだ。

 口では安倍元首相のことを「ならず者」「白痴」などと口汚く罵るが、結果として安倍政権をずっと支えた陰の立役者になっている。ミサイルを発射するたび、スキャンダルで弱った自民党は息を吹き返している。

 この両者の「強敵と書いて友と読む」的な関係は、安倍元首相もよくわかっているのではないか。