全国規模の大きな選挙や地方の小さな選挙など、それぞれの地域の規模に応じて、出口調査の調査人数が変わってくる、そう思うかもしれません。実際は、世論調査やアンケートなどでは、1500人~2000人の意見を調べることができれば、10万人であっても、1億人であっても、ほぼ同等の結果がわかるのです。

 統計には、すべての対象者を調べることなく、ある程度信頼性のあるデータを集める方法「標本調査」があります。もちろんすべての対象者を調べないと誤差(標本誤差)が生じますが、標本の数をある程度多くする、可能な限り偏かたよりがないようにするなどで誤差を軽減することが可能なのです。

 この統計学的手法は身近な例でいうと視聴率の調査や工場で生産される商品の不良品を調べるのによく用いられています

「統計」がわかれば超効率化が可能に

 たとえば、生産された商品100万個の中に、どれだけ不良品が出るか調べる場合を考えましょう。100万個すべて、手作業、目視で調べるのは大変です。しかし、一定数をランダムに選んで、そのなかに不良品がどのくらいの割合であるかわかれば、全体でも不良品の数の検討がつくのです。こちらのほうが効率よさそうです。

 具体的には、100万個からランダムに選んだ2000個を調べます。2000個のうち不良品が10個あったとすると、0.5%の割合で不良品が存在することになりますから、100万個中では5000個前後の不良品があると予測がつくわけです。

 この統計学的な理論を用いると、出口調査は2000人のアンケートがとれれば、何人分のアンケートだとしても、かなりの接戦でない限り、ほぼ当選確実と同等の結果が出るわけです。それをもとに当選確実を出していたのです。もちろん出口調査時点で僅差である場合は当選確実を出せません。