いつものように自宅マンションのドアを開けると、なぜか部屋は明かりもなく真っ暗闇だった。江藤まさるさん(仮名)は首を傾げた。ふだんなら、パジャマ姿の幼い娘が「おかえりなさーい!」と出迎えてくれるはずだ。

 「おかしいな。コンビニにでも行っているのかな」

 テーブルに並んでいるはずの夕食のおかずはない。炊飯ジャーもからっぽだ。

 何かがおかしい――江藤さんは、ふと思いついて夫婦共用のウォークインクローゼットへと走った。やっぱりだ。思った通り、妻の服があらかた消えている。アクセサリー類もない。ドレッサーの引き出しにあったはずの通帳もなくなっているし、洗面所に並んでいた化粧道具一式もない。子どもの服や、幼稚園のカバンもなくなっている。

 「○○子ぉ、○○美ぃ」

 床に転がっていたぬいぐるみを抱き抱え、江藤さんはよろよろと座り込んだ。妻は娘を連れ、出て行ってしまったのだ。

「7月危機」に怯える夫たち

夫の賞与カットで離婚を決断する妻も…

 「実をいうと、原因は賞与のカットなんです」

 こう話すのは、離婚や家庭問題のカウンセリングをおこなう「離婚110番」の代表・澁川良幸さん。冒頭の例のように妻に夜逃げされた夫が、最近では毎週のように駈け込んでくるという。

 「賞与が減ると、離婚が増える」

 これが澁川さんの分析だ。