『これだけできれば大丈夫!すぐ使える!接客1年生』(ダイヤモンド社)の著者・七條千恵美さんは、元JALのカリスマ教官。七條さんいわく、接客の本質とは「あなたを大切に想っています」「感謝しています」「歓迎しています」「敬意を持っています」という想いを感じていただくこと。お客さまの「イラッ」「モヤッ」をなくすこと。それが、接客の基本中のキホン。お客さまに信頼され、リピーターが増える接客のキホンを解説する本連載。今回から特別編として書下ろしの記事をお届けします。わたしたちのまわりでありがちな接客のOK事例や、NG事例なども交えながら、全5回をお届けします。

親しみやすい接客となれなれしい接客、そのボーダーラインとは?Photo: Adobe Stock

まずはお客さまを、イラッと、モヤッとさせないこと

 皆様、こんにちは。七條千恵美です。2018年11月に出版した『接客1年生』は、タイトルの通り、接客の初心者向けに書いた本であることはまちがいありません。

 ただ、それ以外にも孤軍奮闘している中小企業の経営者や店長さんたちにも、ぜひ活用していただきたいとの想いで書きました。

 私は研修講師という仕事柄、社長や人事、教育担当者とお話しをする機会が多くあります。

「接客マナーの研修をしたいけれど予算をとるのが難しい」
「人手が足りず研修をするためのシフトが組めない」
「接客指導をしたいけれど、自分自身も接客を学んだことがなく自信がない」
「スタッフの接客態度について注意をしなければと思いつつ、注意をすることでかえってギクシャクしてしまいやりにくい」etc.

 このようなお悩みを耳にするたびに、「どうにかならないものか」という歯がゆい気持ちがありました。本に書いてある身近な接客事例をミーティングや社内コラムなどで活用し、接客品質の向上に役立てていただければと思います。

 接客というと、洗練された身だしなみや所作、一言一句まちがいのない敬語、期待値を上回る感動、そのようなことももちろん大切です。

 しかし、日常生活に密着した接客シーンでは、まずはお客さまをイラッとさせたりモヤッとさせたりしないこと、それらを徹底することのほうがもっと大切です。まずはそれがスタートラインと言えます。