国際問題で多くの障害に直面し、国内政策課題に関しても議論終盤の追い込みに入っているジョー・バイデン米大統領は、今週末からの海外歴訪で同盟諸国に気候変動対策の強化と、法人税の国際的最低税率の設定などを訴える予定だ。同盟強化を目指し祝賀ムードに包まれていた6月の海外歴訪に続く今回のイタリアとスコットランドを巡る5日間の日程では、最近の同盟諸国との緊張関係緩和も目指す。バイデン政権は、米軍のアフガニスタン撤退時の対応への不満と、オーストラリアへの原子力潜水艦技術供与の合意をめぐるフランスとの外交的あつれきに対処してきた。ローマでの20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)と、英グラスゴーでの国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)への参加に向けたこの何週間かバイデン氏は、社会保障と気候変動対策の法案に加え、インフラ投資計画のパッケージについて、議会民主党内の合意形成に努めてきた。海外歴訪前にこれら分野での前進を印象付けたかったからだ。バイデン政権はまた、二酸化炭素(CO2)排出量削減に関しても、議会で後退を強いられたにもかかわらず、目標達成が依然可能であることを示したいと考えている。