ネットビジネスに対抗するための三つのメリット

 高津社長の説明をまとめると、以下の3点が印象に残った。

(1)即時払いしなくてもいい

 インターネットで航空券を購入する際は、ほとんどの場合、即時決済が求められる。悠遊ワールドは、航空券代金の請求については、月末締めで、翌月末の支払いがOKという形を貫いている。この決済方法だと、航空会社には航空券代金を即時に支払わなければならないので、自社にとっては資金的負担が大きくなる。

「ただ、これは我慢できる程度の問題で、あえてそのようにしました」と高津社長は言う。このやり方は社内の稟議(りんぎ)作業を済ませるために時間がかかる大手顧客にとっては、非常に便利な措置と評価され、喜ばれているという。

(2)発券した顧客に、無事に日本に帰国するまでのフォロー・サービスを提供する。

 航空券の注文が入ったときは、その顧客の出張の全日程案も入手するのが悠遊ワールドの習慣だ。例えば、東南アジアに出張する顧客は一つの都市に限定して滞在するのではなく、複数の国のいくつかの都市を回るケースが多い。

「私たちはその移動に必要な航空券のすべてを最適な形で押さえて、お客さまに提案します。やっていることはもう発券業務ではなく、出張に対するアシスタントの支援作業のようなサービスになります。現地の交通事情に明るい私たちが提供したこうしたサービスを一度受けたら、お客さんはやみつきになりますよ」

(3)非常事態への対策

「出張のため、上海に飛んだ大手商社のお客さまは、台風の影響を受け、東京に戻れなくなりました。困り果てたお客さんが私たちに電話を入れ、助けを求めてきました。お客さんの出張全日程を把握しているので、お客さんが助けを求める前に、すでに私たちは上海から台風の影響を受けていない札幌へ飛び、そこから東京に迂回(うかい)する移動案を用意しておいたのです。だから、支援を求められたとき、直ちに対応でき、お客さんに非常に感謝されました」