ジョー・バイデン米大統領が自身の政策課題の実現を目指す中で立ちはだかっている障害を理解するには、「4とゼロ」という2つの数字に注目してほしい。具体的に言うと、ワシントンには目下、実質的に「4つ」の政党が乱立しており、政党間における相互の信頼は「ゼロ」で全く存在していない。各政党がひしめく現状はひどく険しい道のりとなって、国内向け看板政策の実現に取り組むバイデン氏をつまずかせている。このような状況では、ワシントンが統治できない事態に陥っていると言明するのは言い過ぎだろう。だが、現段階では伝統的な米国の2大政党制というよりは、複数の弱小政党がきっ抗する政党議会政治の方がより近い印象だ。(辛うじて)米議会上下両院の主導権を握っている民主党は今週、過去複数回にわたる失敗を経て、ついに1兆8500億ドル(約210兆円)相当の社会保障と気候変動対策を盛り込んだ大型法案を巡る党内調整を決着させ、合意に達することを目指している。合意が実現すれば1兆ドル相当の超党派インフラ法案の下院可決に道を開くかもしれない(あくまでも可能性の問題だが)。超党派のインフラ法案はバイデン氏が繰り返し身内の民主党に可決を訴えてきたにもかかわらず、棚上げされたままになっている。
バイデン氏の苦悩:元凶は「4政党」と信頼ゼロ
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