長引くコロナ禍で、マスクが手離せない日常となりました。欧米人に比べると、日本人はマスクを着用することにあまり抵抗感を感じることがない国民性ですので、街に出る時もほぼ全員がマスクを着用して生活しています。ただマスクを着用していると、分かりづらいのが表情です。今日は、「エグゼクティブな表情」についてお話しします。(CCI代表取締役・元国際線チーフパーサー 山本洋子)
世界的メーカー社長の表情
「あの人、何か感じが悪い!」「怖そうだから、近づかないようにしよう!」
本人はまったくそんなつもりはないのでしょうが、第一印象で「感じが悪い」とか、「不機嫌そう」と思われてしまう人がいます。私は研修講師という職業柄、無意識のうちに人の表情を観察する癖があるのですが、自分の感情をあまり顔に出さないポーカーフェイスの方でも、喜怒哀楽の感情は少なからず表情に表れ、知らず知らずのうちに相手に印象付けしてしまうことがあります。
世界的に有名な日本の電気機器メーカーの社長が、ファーストクラスにお乗りになった時のことです。
サービスに対してとても厳しい目をお持ちの方で、CAの応対や接客態度についても度々ご指摘されることがあります。何かご用のあるとき、乗務員呼び出しボタンを押してCAがすぐに伺わないと不快感をあらわにされるような厳格なお客様でした。
見た目も眼光鋭く、とても威圧的、見るからに怖そうで近寄りがたい雰囲気が全身に漂っています。
チーフパーサーはお客様がご搭乗になるとお一人お一人の座席に向かい、ご搭乗御礼のご挨拶をするのですが、その際も決して表情が緩むことなく、射るような目つきで私の目を見て、無愛想な返答でした。私も「これは到着まで、気が抜けないな~」とピリピリした緊張感のなかフライトが始まりました。