「品」とは、その人の雰囲気や言動、立ち居振る舞いなどが優雅で洗練された印象を醸し出す様子を指します。品そのものは目に見えないものですが、人はその有無をパッと見た印象で判断しています。JALの国際線チーフパーサー時代に、ファーストクラスに搭乗した上場企業の社長の振る舞い、そしてある皇族の感動的な美しさをご紹介します。(CCI代表取締役・元国際線チーフパーサー 山本洋子)
「品」を感じる人は、「あと」が美しい
「品」とは、目に見えないオーラのようなものです。そしてそれは生まれながらに備わっているものではなく、置かれた環境や生活態度などから長年にわたり培われた後天的に身についた資質なのです。
では、どんな人が「品」が良いと思われるのでしょうか?
私は25年間CAとして多くの人に接してまいりました。年齢、性別、国籍を問わず、「品」を感じる人には共通点があります。当然のことながら、パッと見た第一印象が良いというのは言うまでもありませんが、それ以外に共通している点があります。
それは、「あと」が美しいことです。
つまり、立ち去ったあと、使ったあと、食べたあと……などすべての「あと」が美しいのです。
ファーストクラスに乗った上場企業の社長の「あと」
ファーストクラスに、ある上場企業の社長がお乗りになったときのことです。
その社長は、フライト中多くを語らず、必要最低限の会話を交わす程度で、「しゃべりかけるなオーラ」が全身から漂っていました。ちょっと気難しいご様子で、サービス中とても気を遣わなければいけないお客様でした。しゃべりかけてほしくないオーラのお客様には、そのオーラを察知し余計な会話をしないのが基本です。かといってただ放っておくのではなく、他のお客様以上にご様子を観察しなければいけません。言葉に出さない分、雰囲気で察しなければいけないからです。
なので、この社長にも話し掛けない分、私は常に様子を遠目から観察していたのですが、「あと」がとても美しいのです。