患者さんの回答が「3D」で始まってしまうと、
アドバイスは受け入れてもらえない

 診察でもよくあるのですが、精神科医がどんなナイスでマーベラスなアドバイスをしても、患者さんの回答が「3D」で始まってしまうと、まぁアドバイスは受け入れてもらえません。

「上司の口調が、なんとなく自分を責めているような感じがするんです」
「では、上司の言うことをできるだけ無視する方法を考えましょう」
「でも、上司の席は私のすぐ隣なんですよ。無理に決まっているじゃないですか!」

 これでは、方法を考える余地もありません。

 疲れ切っている人は、こんなふうに即否定がクセになっていることが多いのです。

 だから診察の場で私は、「3D禁止」をしてみませんか? と患者さんに説明し、良い悪いは別として、どれくらい患者さんが「3D」を使っているかを一緒にチェックしてみます。

 「あ、今、『どうせ』って言いましたね?」という軽い感じでです。

 完全にクセになってしまっている場合は、いきなり全面禁止にしてしまうと会話ができなくなります。

 ですから、会話上、どうしても言う場合は、「先生、今これから、私は『でも』という言葉を使いますね」などと、先に宣言してもらうようにしています。

「でも」「だって」「どうせ」の3Dを止めるだけで、問題の8割は解決する!バク@精神科医
元内科の精神科専門医
中高生時代イジメにあうが親や学校からの理解はなく、行く場所の確保を模索するうちにスクールカウンセラーの存在を知り、カウンセラーの道を志し文系に進学する。しかし「カウンセラーで食っていけるのはごく一部」という現実を知り、一念発起し、医師を目指し理転後、都内某私立大学医学部に入学。奨学金を得ながら、勉学とバイトにいそしみやっとのことで卒業。医師国家試験に合格。当初、内科医を専攻したが、医師研修中に父親が亡くなる喪失体験もあり、さまざまなことに対して自信を失う。医師を続けることを諦めかけるが、先輩の精神科主治医と出会うことで、精神科医として「第二の医師人生」をスタート。精神科単科病院にてさまざまな分野の精神科領域の治療に従事。アルコール依存症などの依存症患者への治療を通じて「人間の欲望」について示唆を得る。現在は、双極性障害(躁うつ病)や統合失調症、パーソナリティ障害などの患者が多い急性期精神科病棟の勤務医。「よりわかりやすく、誤解のない精神科医療」の啓発を目標に、医療従事者、患者、企業対象の講演等を行う。個人クリニック開業に向け奮闘中。うつ病を経験し、ADHDの医師としてTwitter(@DrYumekuiBaku)でも人気急上昇中。Twitterフォロワー4万人。『発達障害、うつサバイバーのバク@精神科医が明かす生きづらいがラクになる ゆるメンタル練習帳』が初の著書。