高い専門性が求められる仕事でありながら、安すぎる入札価格、やりがい搾取のようなギャラ設定が横行し、生計を立てることが非常に厳しくなってきたという翻訳業界。機械翻訳の精度が上がったことも、低料金化を加速させる要因だ。質の高い翻訳には、人による翻訳と機械翻訳の両方のバランスが必要だが、このままでは人材育成にも影響を及ぼすと業界関係者は危惧している。
笑える誤訳と笑えない誤訳
人命に関わることも
グローバル化する日本社会で、日本語が得意ではない外国人へ生活に必要な情報を伝える「翻訳」はとても重要だ。しかし、ちまたには驚くほどの誤訳があふれている。
来日外国人が「爆笑」「謎」とSNSによく投稿しているが、誤訳自体、海外でも妙な日本語を見かけるし、ミスリードは「笑えるもの」程度で済むのなら問題視をすることはない。外国人から笑われるだけで済めば誰も被害を受けない。
だが、ビジネス上の契約や交渉、医療機関など正確さが重要な場面における情報の誤訳は、致命的だ。商談では損害を被るかもしれないし、医療では人命に関わることもあるからだ。たかが誤訳とは笑ってはいられない。