日本の回鍋肉(ホイコーロー)は本場の中国・四川省のものとは全く異なるという
日本の回鍋肉(ホイコーロー)は本場の中国・四川省のものとは全く異なるという Photo:PIXTA

オフィス街や大学など、至るところで見かけるようになった中国人。増え続ける彼らの舌に合わせるようにして日本の中華料理も徐々に進化してきているが、それでも“本場”の中華料理とはだいぶ異なる点があるようだ。具体的に聞いてみると、意外な違いを指摘され、中国に通い続けている私も、思わず「そうだったのか!」と驚かされた。(ジャーナリスト 中島 恵)

「ここが変だよ、日本の中華!」と
思っている中国人はけっこう多い

「『ここが変だよ、日本の中華!』。こういうふうに思っている中国人はけっこう多いと思いますよ。日本人に申し訳ないし、外国(日本)でアレンジされた料理って、たぶんそういうものだと思うので、あまりそのことを大きな声で言わないだけです」

 こう語るのは日本に住んで10年以上になる中国人男性。出身地は中国の内陸部、四川省だ。四川省といえば、日本人の誰もが思い浮かべるのが「パンダ」や「麻婆(マーボー)豆腐」。どちらも日本人になじみ深いもので、人気がある。

 麻婆豆腐は、テレビなどで活躍する料理人、陳建一氏の父親、陳建民氏が日本に広めたといわれ、今では本格的な中華料理店だけでなく、「町中華」と呼ばれるラーメン店でも定番のメニューとなった。また、麻婆豆腐の人気につられるようにして、それ以外の四川料理(エビのチリソース、担々麺など)もずいぶん日本に浸透しているように感じる。

 そのひとつが回鍋肉だ。中国語では「ホイグオロー」という発音に近いが、日本では「ホイコーロー」と呼ばれ、いつのころからか日本人に親しまれるようになった。ご存じのように、白いご飯によく合う、豚肉とキャベツなどの中華風の炒め物だ。

 ピリ辛風に調理する店や、甘い味噌だれで味つけする店がある。スーパーに行けば、味の素の『クックドゥ』シリーズなど、数種類の合わせ調味料も売られている。合わせ調味料を使えば、あっという間に自宅でも簡単においしい回鍋肉を作ることができる。本場の味には及ばなくても、そこそこ、おいしい中華料理が作れる。そう思っている日本人は多いのではないだろうか。

日本の「回鍋肉」は
本場・四川のものとは全くの別物

 ところが、この中国人男性は強く首を横に振って否定した。“本場”の味と比べると、ずいぶん異なるというのだ。

「確かに日本の回鍋肉は、そういうふうにして独自に“発展”してきたのかもしれませんね。それは否定しません。日本人に、中華料理に親しんでもらえるのは中国人としてうれしいですから。ですが、四川省で食べる回鍋肉はまったく違うものなんですよ。そもそも、食材からして違いますからねえ…」

 それはどういうことだろうか。