年収は前年比20万円弱アップも
2年連続1位となったショクブン

 今回は、上場企業の有価証券報告書に記載された平均年収のデータを使って、愛知県に本社がある上場企業を対象に「年収が低い会社ランキング【愛知県】」を作成した。本社所在地はダイヤモンド社企業情報部調べ。単体の従業員数が30人未満の企業は除外している。対象期間は、2020年4月期~21年3月期。

 早速、ランキングを確認していこう。

 1位となったのは、名古屋市守山区に本社を置く食材配達サービス会社のショクブン。21年3月期の平均年収は307.2万円だった。昨年の『年収が低い企業ランキング2020【愛知県・全100社完全版】』でも1位となっている。

 ちなみに、昨年のランキングで対象となった20年3月期の平均年収は289.7万円。これに比べると、21年3月期の平均年収は20万円弱アップしたことになる。しかし、それでも2位のワシントンホテルとは40万円超の差が付いており、2年連続の1位を免れることはできなかった。

 業績は堅調で、21年3月期は増収増益だった。売上高は前期比2.8%増の68億円だったが、製造拠点や営業所の統廃合を行ったことで営業利益が2.3億円(前期比37.7%増)と大きく伸びている。こうした収益性の改善が、今後従業員の年収アップにつながるかどうか注目したい。

 2位のワシントンホテルは、平均年収350.8万円だった。

 同社は、ビジネスホテルチェーン「ワシントンホテルプラザ」の運営などを行っている。ホテル業界といえば、コロナ禍の移動制限や外出自粛の影響で大きな打撃を受けた業界の筆頭だ。

 ワシントンホテルもご多分に漏れず、21年3月期は売上高が7割超の減少、75億円の最終赤字(20年3月期は4億円の最終黒字)という非常に厳しい業績となった。こうした中で、同社が運営していた「名古屋国際ホテル」は建物賃貸借契約の満了に伴い、20年9月末に営業を終了している。

 平均年収は20年3月期と比べて、16.4%減少した。業績悪化の影響が給与面にも表れているといえる。

 コロナ禍収束の見通しが立たず、依然として苦しい経営状況にある。22年3月期第1四半期の決算短信で、継続企業の前提に関する注記(GC注記)が記載された。こうした中、ワシントンホテルはコスト削減を目的として、21年4月から社員給与の減額を行ったと発表。給与面でも厳しい状況が続いている。