今回は、上場企業の有価証券報告書に記載された平均年収のデータを使って、愛知県に本社がある上場企業を対象に「愛知県で年収が低い会社ランキング」を作成した。本社所在地はダイヤモンド社企業情報部調べ。単体の従業員数が50人未満の企業は除外している。対象期間は、2019年6月期~20年5月期。
早速、ランキングを確認していこう。
トップ10に名を連ねるのは
外食、情報通信企業が多い
1位となったのはショクブンで、平均年収は289.7万円。1977年創業で名古屋市守山区に本社を置く、食材配達サービス会社だ。目下、愛知県で年収200万円台の企業は同社だけである。主力事業は横ばい傾向が続いているが、20年4~9月期の連結業績は、コロナ禍による巣ごもり消費などで当初の予算より売り上げが上振れ。営業所の統廃合によるコスト合理化で、利益も増加した。コロナ禍で頑張る従業員のためにも、給料アップを目指してほしいものだ。
2位は買取王国で、同364.0万円。ホビーを主体とする総合リサイクルショップを運営し、県外にも出店。オンラインストア、宅配買取、出張買取などサービス網を拡大中だ。店長やスタッフに商品構成や価格決定権などの権限を大幅委譲する「個店経営」のチェーン形態をとっていることもあり、「人財育成」に注力する。従業員には会社の理念や戦略を社内研修などにおいて密に共有しているというが、求心力向上のためには、報酬面にも力を入れたいところだ。
そして3位は、シェアリングテクノロジーというウェブ事業の会社で、同365.6万円。消費者と生活関連の専門業者をマッチングして、「暮らしのお困りごと」を解決するプラットフォームの運営などを行う。19年には、創業経営者の降板、共同経営者体制の発足、そして単独経営者体制への移行と、トップが目まぐるしく変わった。その過程で会社の経営計画を見直し、安定成長への道を模索しているようだ。成長の暁に、従業員の給料アップが待っていることを願いたい。
トップ10にランクインした他の企業の顔ぶれを見ると、飲食店チェーンを運営する企業が3社と多く、「外食は給料が安い」という現実を物語っている。
4位は居酒屋「なつかし処昭和食堂」などを運営する海帆(平均年収368.6万円)で、9位はコロワイド傘下で回転寿司やカラオケ店チェーンを運営するアトム(同400.0万円)。10位のヨシックス(同402.7万円)は「や台ずし」を運営しており、「看板などの外観が似ている」として「磯丸すし」を展開するSFPダイニングを提訴したことは記憶に新しい。
情報・通信では、前述のシェアリングテクノロジーの他に、移動体通信をはじめ7つの事業を多角的に運営するクロップス(同399.4万円)が8位にランクイン。この2社に共通するのは、従業員の平均年齢が低いことで、前者は29.1歳、後者は29.6歳と共に20代だ。IT系のベンチャーによく見られるように、従業員の平均年収が低いのは、給料が安い若手が多い影響もあるのだろう。