クアルコム、「ほぼアップルなき未来」売り込むアモンCEOは今後も「プレミアムでハイエンドなアンドロイド」セグメントのデバイスに注力していく方針という PHOTO: MATT FURMAN FOR THE WALL STREET JOURNAL

――投資家向けコラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

 ***

 米半導体大手クアルコムの事業は順調なようだが、新事業年度(2021年10月~22年9月)入りにあたり、ユニークな問題に直面している。それは「最大の顧客企業の1つ」が実際に不要であることを投資家に納得させることだ。

 クアルコムは事業の大部分がスマートフォン関連であり、アップルが世界最大のスマートフォン企業であることを考えると、これは決して簡単なことではない。両社は長年対立してきたが、現在はまだ双方にメリットが認められることから、「不本意ながらの互恵関係」と呼ぶのがふさわしいだろう。クアルコム製の半導体のおかげで、アップルは初の第5世代移動通信システム(5G)対応「iPhone(アイフォーン)」を発売して大きな成功を収めた。アップル向けビジネスはクアルコムの半導体の売り上げを大幅に押し上げている。両社とも2021年9月期決算では、売上高および営業利益が過去最高となった。