学校の授業で学ぶ歴史には、偉人たちの輝かしい功績や「すごい」エピソードが数多く登場します。しかし、どんな人物にもそれだけでは語れない一面があります。歴史をひもとくと、「すごい」人の中にも、思わず目を疑うような「やばい」行動や選択が、数多く記録されているのです。
そんな「すごい」と「やばい」の両面から、日本史の人物のリアルな姿に迫るのが『東大教授がおしえる 超!やばい日本史』。同書より特別に一部を紹介します。取り上げるのは、260年以上続く江戸幕府を築き、日本史上もっとも長く安定した時代をつくりあげた徳川家康です。

【天才】徳川家康が考えた「幕府をいつまでも続かせる」すごい仕掛けとは?Photo: Adobe Stock

天下人になり学問で人々をコントロールする

 徳川家康は、関ヶ原の戦いに勝利し、豊臣家をほろぼして戦国の世を終わらせました。

 自分が開いた江戸幕府を永遠の政権にしたいと考えた家康は、二度と下克上が起きないように「人をコントロールする学問」を使うことにしました。それが「儒学」です。

 儒学はもともと古代中国の思想家の教えで、「政治が悪いときは政権交代させていい(易姓革命)」という考え方もありましたが、家康はそれを無視して、儒学のなかでも「朱子学」という「上下関係」を大事にする教えに目をつけました。

 この教えを世間に広めたのが、朱子学を身につけた林羅山です。かれは4代にもわたって徳川将軍に仕えました。

目上の人に逆らってはいけない」ルールを正当化するため、幕府は朱子学を公式の学問に採用。その結果、「身分の上下は絶対」という価値観が人々に浸透していきました。おかげで幕末までは政権交代が起こらず、江戸幕府は264年も続きました。

 その一方で自由な考えや恋愛は禁止され、規制ガチガチの社会になりました。家の主人として家督相続できるのは男性のみになり、女性は家にしばられ自分を表現するチャンスが激減しました。

【天才】徳川家康が考えた「幕府をいつまでも続かせる」すごい仕掛けとは?イラスト:和田ラヂヲ(『東大教授がおしえる 超!やばい日本史』より)

(本原稿は『東大教授がおしえる 超!やばい日本史』からの抜粋です)