中学2年から株ひと筋で、株式投資歴30年以上のベテラン専業投資家、かぶ1000が『賢明なる個人投資家への道』を著した。中学時代から体育のジャージ姿で地元の証券会社に通い詰め、中高年の投資家にかわいがられ、バブル紳士にお金儲けのイロハを教えてもらった。中学3年生で300万円、高校1年で1000万円、高校2年生で1500万円へと株式資産を増やす。会計系の専門学校卒業後、証券会社の就職の誘いを断って専業投資家の道へ。2011年に“億り人”になると、2015年に3億円、2019年に4億円を突破。アルバイト経験さえない根っからの個人投資家が、学校では絶対に教えてくれないお金の知識と増やし方を徹底指南する。
賢明なる個人投資家への道とは?
みなさま、はじめまして。
専業投資家の、かぶ1000と申します。
私は中学2年生の頃、貯金40万円を元手に株式投資をスタートしました。
2021年で投資歴は33年になり、累積利益は4.5億円を超えるまでになりました。
2021年1月に刊行した私の初の著書『貯金40万円が株式投資で4億円 元手を1000倍に増やしたボクの投資術』は、幸いにも多くの方々に読んでいただけました。
読者のなかには、私が投資を始めたのとほぼ同い年の中学1年生の男子もいました。
なんと彼は、私の本を6回もくり返し読んでくれたそうです。
中学の同級生にすすめたら、その友だちも読んでくれたそうで、著者としては本当にうれしい気持ちでいっぱいになりました。
参考までに、その中学生に「どこが面白かった?」と尋ねてみると、「ファミコンを転売して稼いでいたというところが面白かったです」とのこと。
彼にはそういう発想がなかったそうです。
私は専業投資家になる前の小学生の頃に、リサイクルショップやディスカウントストアでファミコンソフトを安く買い、それをより高値で買いとってくれるお店に転売する「アービトラージ」という手法でお金を稼いでいた時期があります。
アービトラージとは、価格の安いところで購入して価格の高い別のところで売却、その価格差(利ざや)を利用して儲けることから、「サヤとり」とも呼ばれます。
この安く買って高く売るという考え方は、株式投資の基本でもあります。
前著では、資産に対して割安な銘柄を見つけて投資する「バリュー(割安)株投資」について詳しく解説しました。
中学生に「バリュー株投資のところはどうだった?」と尋ねてみると、彼からは「正直、よくわかりませんでした」という答えが返ってきました。
この中学生だけではありません。ツイッターなどを介して読者から、「数式がたくさん出てきてちょっと難しかった」とか「バリュー株投資以前に、もっと基本的な話も知りたかった」といった意見が、私のもとにたくさん寄せられました。
そうした声にこたえるために、改めて書いたのが『賢明なる個人投資家への道』というわけです。
日本でもようやく株式投資への注目が集まるようになり、証券口座を開設する人たちが増えています。
大手ネット証券の楽天証券は2021年5月、証券口座数が600万口座を突破したと発表しました。
前年12月に500万口座を突破してから、約5ヵ月で100万口座も増加。
30代以下の利用者が全体の40%以上と比率を拡大しています。
その一方で、いまだに「株ってよくわからない」「株は危ないんじゃないか」「株はギャンブルでしょ」といったネガティブな印象を持っている人も、まだまだ多いのが実態です。
たしかに一攫千金を狙った投機(ギャンブル)的な株取引をして、失敗している投資家もいます。
しかし、それだけを見て「株は危ない」と決めつけるのは間違っていますし、手っとり早く稼ぎたいと投機的な株取引に走るのも間違っていると私は思います。
そもそも、「投資」と「投機」は、まったく異なるものです。
目先の金儲けではなく、あくまで中長期の長い目で株式投資に向き合い、正しい情報を得つつ自分の頭で考えて、失敗しながらも自分自身で銘柄選定や売買の判断を下すのが「賢明なる個人投資家」への第一歩だと私は考えています。
「儲かる銘柄を教えてください!」と他人の意見に依存しがちな人は多いですが、それで儲かるとは限りません。
また、それではいつまでたっても投資家としてスキルアップできませんし、自分に合った再現性のある投資手法を得られません。
正しく実践すれば、株式投資は人生を豊かにする最良のパートナーとなり、私のような専業投資家ではない、会社員や主婦をやりながらの兼業投資家でも、株式資産1億円突破の「億り人」を目指せると私は考えています。
投資未経験だった私の母やかみさんも、私の影響で株式投資を始め、2人とも「億り人」になっています。
前著『貯金40万円が株式投資で4億円 元手を1000倍に増やしたボクの投資術』(49ページ)にも書きましたが、ベンジャミン・グレアム著『賢明なる投資家』は、私の投資家人生を変えた1冊です。
1949年に出版された本ですが、いまでも十分通用する内容です。
『賢明なる個人投資家への道』のタイトルは、同書へのリスペクトの念を込めたものでもあります。
グレアムのように、時代がたっても変わらない「投資の本質」をこれからみなさまにお届けしたいと思っています。
『賢明なる個人投資家への道』は「基礎編」「応用編」「番外編」という3つのパートで構成されています。
基礎編では、資産をお金(現金)だけで持つことがいかに危険か、そしてお金の置き場所として株式が最適な理由について説明しています。
漠然と現金がいちばん安全だと思っている人にとっては、目からウロコが落ちる話だと思います。
応用編では、他人に頼らないで、自立した株式投資をするための知識をまとめています。
資産ステージごとの投資術についても詳しく解説しています。
番外編は、個人投資家としてさらに大きく成長するために、知っておくべきことを解説しています。
『賢明なる個人投資家への道』を通じて株式投資に興味を持つ個人投資家が1人でも増えて、株式市場がいま以上に活気にあふれ、日本という国を少しでも元気にすることにつながるとしたら、著者として大変うれしい限りです。