世界で実績を残してきた投資家は、将来の動向よりも、企業の歴史を重視しているという。一般的に「株式投資は将来を予想することが大事」という思い込みが強くあるが、将来予想などしなくても投資をすることが可能だ。『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資法』を上梓した泉田良輔氏に、個人でも簡単にできる株式投資のポイントをうかがった。

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機関投資家の神髄は
「将来予想」ではない

 株式投資というと、「会社の将来の姿、業績を予想するのが当然」と考える投資家が多いのではないでしょうか。

 これは「上場企業の株価は、その企業が稼ぎ出す将来のキャッシュフローに基づいた企業価値によって決定される」という考えによるものです。証券アナリストである私もそのアプローチに基づいて仕事をしてきました。

 証券アナリストの仕事は、主に「過去分析」と「将来予想」です。そしてアナリスト業務の現場で、より重視されているのが「将来予想」です。それを代表するのが、アナリストによる将来の業績予想を集計して、その平均値を見る「市場コンセンサス」になります。コンセンサスの変動が短期的に株価に影響を与えることから、株式市場での短期的な将来予想が重視されることがわかります。

 しかし、将来、何倍にもなる銘柄、いわゆる「X倍株」を引き当ててきた投資家の考えや、彼らのポートフォリオに含まれる銘柄を分析すると、「過去」データに共通項があり、その基準をもとに銘柄を選べば、必ずしも将来を予測する必要はないということが見えてきます。

 現在は、インターネットを通じて企業業績に関する公開情報に誰でもアクセスできるようになりました。過去の業績分析という点では、機関投資家に限らず、個人投資家でも十分に挑戦することができる環境になったのです。

 では、高いパフォーマンスを上げている機関投資家は、すべての時間を過去分析に費やしているかというと、そうではありません。

 私は過去、フィデリティ投信の小型株チームにいましたが、その際、上司に口酸っぱくいわれたのが「株式投資で最も重要なのは“変化”をとらえることだ」ということです。この変化というのは、大きくは経営者の交代によって企業戦略が変化することに始まり、最終的には業績が変化するまでの幅広い「変化」のことです。