この国民との対話について、「あまりにも自画自賛一色の意思疎通だった」との批判が上がった。しかし、青瓦台の朴洙賢(パク・スヒョン)国民疎通首席秘書官は「(そうした批判は)国民が成し遂げたことを批判するもの」と反論した。しかし、真実を語らず、小手先のメディア対策を行うのは青瓦台の真骨頂であり、文政権の体質を如実に物語るものだ。

 この「国民との対話」は青瓦台による巧みな世論対策の一環であろう。文大統領の国民との対話の発言がいかに事実認識と乖離しているかを検証したい。

過去最多となった
新規感染者数

 文大統領は国民との対話において、新型コロナ感染者について「感染者数の増加は段階的な日常回復(ウィズコロナ)に入るときに予想した数値」「われわれの医療体制が対応できないほど重症患者が増えることになれば、その時はやむを得ず非常措置を取ったり、日常回復をしばらく中断したり、距離を強化する措置があるかもしれない」と述べた。

 その3日後の24日、1日当たりの新規感染者数は4116人となり、過去最多であった18日の感染者3292人を大幅に上回った。重症患者数は586人と前日の549人より37人増え、最多を記録した。また、死者数は35人で7月に第4波が始まってから最も多い。

 これを受け、金富謙(キム・ブギョム)首相は24日の中央災害安全対策本部会議で、予想より深刻だとして、「首都圏だけ見ればいつでも非常計画発動を検討しなければならない状況。何より重症患者病床をはじめとする首都圏の医療対応力を回復させることが急務だ」と述べた。感染者の増加・累積で重症者用病床が不足し、入院待機のまま病床を割り振ってもらえなかったり、待機中に死亡したりする患者が続出しているという。

 また、政府は「(感染者が発生する中でも段階的に日常生活の回復を目指す)ウィズコロナ措置は続くだろう」としながらも、私的な集まりの規制の一時的強化などを盛り込んだ「サーキットブレーカー(緊急計画)」発動可否も同時に検討すると明らかにした。