現在、日本中で大ブレイク中のひろゆき氏。彼の「考え方の根っこ」を深く掘り下げ、思考の原点をマジメに語った『1%の努力』は、45万部を超えるベストセラーになっている。この記事では、ひろゆき氏にさらに気になる質問をぶつけてみた。(構成:種岡 健 初出:2021年12月4日)
「日本人だけが一生懸命」は本当か?
「日本人は残業が多くて土日も働いて休む暇もない。一方で欧米の人はオンオフをハッキリさせて休みを謳歌している」
こういう話を聞いたことがあるでしょうか。僕もよくこれに似た話はするのですが、ただ、じつは誤解されることも多いので、それについて話したいと思います。
というのも、たしかにアメリカの時間労働者は、17時までが勤務時間の場合、17時きっかりに家に帰ります。日本だと、17時でもお客さんがいてみんなが働いていたら、なんとなくサービス残業をしたり、掃除してから帰ったりするでしょう。
ただ、これはアルバイトや派遣労働者に見られる特徴であって、アメリカやローロッパでもバリバリ働いて高給を稼いでいる人は休みなく仕事のことを考えたりしています。そこは日本のサラリーマンとあまり変わりません。
メインの仕事のことは「ずっと考えたほうがいい」
生産性の高い仕事をしている人は、共通して「仕事以外の時間」も、仕事のことを考えます。
たとえば、企画のようなクリエイティブな仕事の場合、実際にパソコンの前に座ってキーボードを叩いている作業をしているときより、ぼーっと空想して頭の中で考えを巡らせているほうが大事だったりします。
そうしてずっと考え続けているから、趣味のスポーツをしていたり、仕事と関係ない映画や本に触れているときに、「あ、これはアイデアとして使えるかも!」ということが見つかります。
アルバイトだったら、シフト以外の時間では仕事のことなんて1秒も考えないほうがトクだったりしますが、本業でバリバリ稼いでいる人にとっては、メインの仕事のことはずっと頭の中にあったほうがいいのです。
そして、そういう仕事は、35歳になるまでに見つけないとヤバイです。
仕事全体が「俯瞰」して見えるとき
20代の頃は、自分がやっている仕事が歯車のように感じるかもしれません。しかし、作業に慣れていくうちに、なぜ自分がこれをやっているのかが、徐々に高い視点で抽象度の高い認識としてできるようになっていきます。
現場に配属されて、「こんなこと何の役に立つんだよ」「アルバイトでもできるじゃないか」と思っているうちは、まだまだ半人前です。そこから視点をあげて、「もっとこういう施策をしたらいいのに」「根本的にここを変えればいいのに」と、管理職や経営者のような発想が持てるようになってきたらチャンスです。
そして、20代はキツい現場仕事を乗り越えて、リーダーを任されたり部下を持ったりするのが35歳までのタイミングです。こうなってくると、少しずつ生産性の高い仕事ができるポジションが得られてきます。
35歳までに「適職」は見つけておこう
ということで、少なくとも35歳までには、「勤務時間以外にもつい考えてしまう仕事」を見つけないといけないと思います。もちろん、お金なんて稼がずに、アルバイトのような立場でだらだら過ごしていたいのなら、そんなものは見つけなくてもOKです。
ただ、少しでも向上心があるのなら、本業として一生かけてもいいような仕事は、35歳までに見つけるようにしましょう。
これは別に斜陽産業でもいいし、伸び盛りの産業でもいいと思います。伸び盛りのほうがチャンスのように見えますが、競争も激しかったりします。逆に、斜陽産業の場合なら、他の人たちがそんなにやる気がない可能性が高いので、やり方次第ですぐにトップクラスになれます。
大事なのは、土日や趣味の時間にも、つい考えてしまう仕事かどうか。アイデアを思いついてメモをとったりしてしまうかどうか。それが苦痛じゃないかどうかです。
それこそがまさにあなたの適職だと思うので、下っ端でも体力でなんとか乗り切れる35歳までに見つけておいたほうがよいと思いますよ。
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。主な著書に、45万部を突破した『1%の努力』(ダイヤモンド社)がある。