コロナウイルスの変異種「オミクロン」と米国におけるインフレ懸念のダブルパンチによって、世界経済は再び岐路に立たされている。ビットコインをはじめとする暗号資産市場も、11月半ばまでの楽観ムードから一転、警戒感が高まっている。オミクロンがどの程度、警戒すべきウイルスなのかが不透明な中で予測をするのは困難だが、場合によっては、株安につられて1日で70%超も下落した昨年3月の「コロナショック」の再来の可能性もある。(クラーケン・ジャパン代表 千野剛司)
11月半ばまでの楽観ムードが一転
日本は10月に緊急事態宣言が解除された後、全国でコロナの感染者は激減しました。年末にかけて景気回復を期待していた人も少なくないでしょう。米国でも今年の感謝祭は去年よりは楽観的なムードが流れており、私の米国の同僚の多くも休暇を取って家族と一緒に楽しそうに七面鳥を食べていました。そんな中で発生したのが、コロナの変異種「オミクロン」であり、インフレ懸念の高まりでした。
実は、ビットコインをはじめとする暗号資産市場にも、11月半ばまで年末ラリー(年末に向けて価格が上がっていくという経験則)を期待するムードがあり、11月10日に6万9000ドルの最高値をつけました。2020年にビットコインのマイナー(採掘者)に対する報酬が半減する「半減期」と呼ばれるイベントがありましたが、「半減期の翌年は強気相場になる」という経験則があるほか、長期保有者や機関投資家による需要も引き続き高い水準で確認できていたことから、年末にかけて最高値を再び更新するだろうというのが大方の見方でした。
しかし、新たな二つの脅威の出現により、ビットコイン年末ラリーにも黄信号がともっています。本稿では、世界経済が直面する新たなマイナス材料を受けて、ビットコインがどのように反応しそうか考察します。