ジョー・バイデン米大統領はウクライナに対するロシアの攻撃を阻止しようと努めているが、彼の政権は意のままにならない世界との格闘を続けている。ロシアは抑制が利かない。イランは協力しない。中国は、気候変動のような共通の問題でバイデン政権と共同歩調を取っておらず、米政府の対中強硬姿勢に動じる様子を見せてもいない。中国の台湾周辺での行動は、ロイド・オースティン米国防長官が先週警告したように、深刻な侵略的動きへの「リハーサルのようなもの」に見える。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が軍備を増強している背景には、世の中の動きが自分たちに味方していないというロシア政府の認識がある。ウクライナ国民は、プーチン氏が指揮した2014年のクリミア併合と、ドンバス地方として知られるウクライナ南東部で現在も続く戦争を受けて、ロシアへの反感を抱いている。これが主因となって、以前よりも多くのウクライナ人が、ロシア政府による息苦しい束縛と彼らが認識する状況から逃れることを決意するようになっている。欧米諸国の励ましや支援の下で進められてきた官僚制度、司法制度、情報機関、教育システムの段階的な変革を受けて、ウクライナは静かに、しかし確実に、ソ連崩壊後のロシアから離れ、しっかりと欧米に軸足を置く方向に進んでいる。