ワクチン接種は、免疫システムが抗体を生成し、感染を体内から排除するT細胞を動員する助けとなるワクチン接種は、免疫システムが抗体を生成し、感染を体内から排除するT細胞を動員する助けとなる PHOTO: AMIR HAMJA FOR THE WALL STREET JOURNAL

 新型コロナウイルス変異株「オミクロン」の出現を受けて、複数の製薬会社は既存のワクチンが効かない事態に備え、改良版の開発を急いでいる。だが、改良ワクチンの接種により、新たな変異株に対して免疫反応を調整できるかどうかは、実は定かではない。

 変異株に対応したワクチンを開発する上で大きな障害となるのが、免疫学者が「抗原原罪」と呼ぶ現象だ。これはインフルエンザなど他の感染症でみられるもので、ヒトの体がやや異なる変異株に遭遇すると、最初に病原体(あるいはワクチン)に対峙(たいじ)した際に引き起こした免疫反応に戻ることを指す。