レビュー
「諦めなければ夢は叶う」。よく聞く言葉であるし、著者もこれには同意だという。しかし、本書『諦めの価値』はそのうえで、夢の実現のためには「諦めが必要だ」ともいう。「諦める」という言葉にはネガティブなイメージがつきまとうが、本書の「諦める」は、夢の実現や目的達成のための現実的な戦略だ。
著者の主張はシンプルだ。夢をかなえるためには、考え、行動しなければならない。「考える」とは、現状を分析し、目的を吟味し、目的達成のための手段や方法を選ぶことである。その過程で、今までやってきた方法をやめたり、考えていた選択肢のいくつかを捨てたりすることになる。これが「諦める」ということだ。
労力を注ぎ込んだものを諦めざるを得ないとき、しかも、それで目標達成ができないとなると、そこで夢は終わってしまうような気分になる。しかし、考えたことは無駄にはならない。その諦めが未来の成功につながることをもまた、著者は教えてくれる。
要約者も、こうしたい、ああなればいい、という夢はあるが、実現できていないものも多々ある。本書を読み、自分を振り返ってみると、夢に対して強い思い入れがなく、「実現できたらいいな」程度の憧れにとどまっていて行動していないことに改めて気づかされた。