「今の会社で働き続けていいのかな?」「でも、転職するのは怖いな……」。働き方が大きく変わるなか、そんな悩みを抱える人は多いだろう。高卒から、30歳で年収1000万円超という驚きの経歴をもつ山下良輔さんは、そんな「転職迷子」たちから圧倒的な支持を得ている。山下さんは初の著書『転職が僕らを助けてくれる――新卒で入れなかったあの会社に入社する方法』で、自らの転職経験を全て公開している。
その戦略は「外資系やコンサル業界は、学歴エリートでなくても入れる」「職歴に一貫性はなくてもいい」など、これまでの「転職の常識」を塗り替えるものばかりだ。どうしたら人生を変える転職ができるのか、どうしたらいい会社選びができるのか。この連載では本書より一部を特別に公開する。

頭がいい人と悪い人「挫折に対する向き合い方」に現れる差【転職わらしべ長者が教える】Photo: Adobe Stock

 本書では、年収を大きく上げる転職の一番の壁は、実は自分の中の「メンタルブロック」だとお伝えしました。

 メンタルブロックの大半は思い込みなのですが、ときには「どうしても越えられない壁」もこの世界には存在します。
 僕の場合でいえば「大学受験への挑戦」や「英語学習」などがそれにあたりました。

「大学で勉強してみたい……」。松田電機入社後、人生で初めてその選択肢を考えた僕は、大学受験用の参考書を買ってきて、週末を使って半年ほど勉強しました。しかし、全く興味がわきません。当時仕事で取り組んでいたモノづくりについての資料は夢中になって何百ページも読めたのに、内容が受験科目になった途端、全く頭に入ってこないのです。「これはちょっと……無理だな」。それが僕の現実的な結論でした。
 明らかに興味が持てない呪文のような歴史用語や数式を暗記するより、夢中になって読めるモノづくりの資料に取り組み、自動車部品について詳しくなるほうが楽しそうだ。そう思えたことで、松田電機での仕事に、さらに身が入るようになりました。

 スバルからの転職を考えたときにも、もうひとつの挫折がありました。
 自分が次にやりたいことを考えたときに「プロジェクトの仕事がしたい」のと、もうひとつ「海外で働きたい」という希望が出てきました。松田電機のタイ工場での経験が、本当に楽しかったからです。
 そこで僕は、同じ自動車業界でも外資系のメーカーに応募することを考えました。
 当然ですが、相当高いレベルのビジネス英語が必須です。面接に備えるため、そして仕事で使える英語力を目指して、ありとあらゆる教材で勉強しました。このときも、3ヵ月くらいはみっちりやったと思います。
 しかしやればやるほど、「無理そうだ」という結論に達しました。いくら自動車業界とはいえ、中学英語から学び直しの僕が、英語がネイティブレベルで求められる場所で働くのは、相当難しいことがわかってきたのです。

 この2つの体験は、僕に「メンタルブロック」と「やってからあきらめる」の決定的な違いを認識させてくれたように思います。

 誰にでも苦手なことはあるし、能力的にどうしても越えられない壁はあります。でも、やってみないと、それはわからない。これが僕の持論です。自分の本気度や、実際に夢中になれるかどうか、落ちて悔しいか、どうしてもあきらめられないか……。やってみると、いろんなことがわかります。
 コスパを無視して突き進みたいことなら非効率でも続ければいいし、この辺で損切りしようと思うなら、いつやめてもいい。やってみた結果、「あれもダメだった」「これもダメだった」とわかることは、むしろいいことだと僕は思います。

 そして、高卒から年収1000万超のコンサルに転職できた僕がいうから信じて欲しいのですが、やってみたけど全部ダメっていうことは、絶対にありません。何か残るかもしれないし、他の道が開けてくるかもしれない。けれども、それは実際にやってみないと何も始まらないし、何もわからないままなのです。