能力が低い人ほど自己肯定感が高い理由能力の低い人物は、自分が能力が低いということに気づく能力も低い(写真はイメージです) Photo:PIXTA

昨今、書籍やメディアでよく取り上げられるようになった「自己肯定感」。その多くが、自己肯定感が低いといかに生きづらいかを説き、なんとかして自己肯定感を高めるためのノウハウを伝授するといった内容です。しかし、自己肯定感は本当に高めなければいけないのでしょうか。自己肯定感が低いといい人生を送ることができないのでしょうか。そこで前回に続き今回は、心理学博士・榎本博明さんの新刊『自己肯定感という呪縛』(青春出版社)から、自己肯定感を無理に高めようとすることの弊害について抜粋紹介します。

欧米人の自己肯定感の高さを見習うべきか

 どの国際比較調査のデータをみても、欧米人の自己肯定感の高さは疑いようもなく、それに比べて日本人の自己肯定感は著しく低くなっています。そのようなデータを根拠に、日本の子どもや若者の自己肯定感を高めなければならないとして、さまざまな取り組みが行われています。それにもかかわらず日本の子どもや若者の自己肯定感が高まる兆候はみられず、欧米人との差は一向に縮まる気配がありません。

 そこで、いったいどうしたら縮めることができるか、どんな方法を用いたら日本の子どもや若者の自己肯定感を高めることができるかが真剣に議論されていますが、私は、そんなことを気にする必要はまったくないと思います。その根拠を示しましょう。