中国の政策当局は経済成長の支援を巡り、これまでよりはるかに強いシグナルを唐突に発している。15日発表された2021年最後の注目データは、その理由を映し出している。11月の経済指標からは、販売や重工業の一角に底打ちの兆しもみられるものの、消費が軟調で、産業界は横ばい、不動産セクターは依然として深刻な問題を抱えていることがわかる。中国経済はなお深刻な状況にあり、来年のさらなる景気減速を回避するためには、財政・金融両面からの一層の政策支援が必要となる。春先の成長率は、前年同期が低調であったことに比べれば、少なくともいくぶんましな水準になるだろう。11月のデータに関しては、朗報はほとんど漸進的なものだった。鉱工業生産は前年同月比3.8%増と、10月の3.5%増から2カ月連続で改善した。しかし10月と同様に、鉱業と電力セクターに強さが集中した。両セクターは秋口に安全問題と環境関連の規制で広範囲な停電を強いられた後、着実に回復を続けている。製造業は前年同月比2.9%増と、11月の2.5%増をわずかに上回ったが、夏場の6%前後を大きく下回る水準にとどまっている。一方、鉱業の成長率は6.2%に上昇し、2019年後半以来の高水準となった。電力・熱・水供給セクターの成長率は11.1%だった。