【相続で大損】4ヵ月で延滞税も…相続人が知らない「確定申告」の落とし穴とは?
大切な人を亡くした後、残された家族には、膨大な量の手続が待っています。しかも「いつかやろう」と放置すると、過料(行政罰)が生じるケースもあり、要注意です。本連載の著者は、相続専門税理士の橘慶太氏。相続の相談実績は5000人を超え、現場を知り尽くしたプロフェッショナルです。このたび、最新の法改正に合わせた『ぶっちゃけ相続「手続大全」【増補改訂版】』が刊行されます。本書から一部を抜粋し、ご紹介します。
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4ヵ月で延滞税も…相続人が見落とす「確定申告の罠」とは?
本日は「相続と確定申告」についてお話しします。年末年始、相続について家族で話し合った方も多いかと思います。ぜひ参考にしてください。
故人が生前中に得ていた収入については、相続人が代わりに確定申告をしなければなりません。これを「準確定申告」といいます。
数ある相続手続の中でも準確定申告は期限が短く、気づかぬうちに期限を過ぎてしまい、延滞税等のペナルティが発生してしまうことがあります。準確定申告の基本的な流れについて解説します。
準確定申告とは何か?
準確定申告とは「故人の確定申告」を指します。期限は亡くなったことを知った日の翌日から4ヵ月以内で、相続人はこの日までに申告と納税を済ませる必要があります。提出先は故人の住所を管轄する税務署です。準確定申告の基本的な手順を解説していきます。準確定申告といっても、基本的な流れは普通の確定申告と同じです。大きく次の3ステップで進めていきます。
①必要書類を集める
②申告書を作成する
③税務署に提出して納税する
それでは普通の確定申告と異なる点などに触れながら、順番に見ていきましょう。
①必要資料を集める
計算に必要な資料で代表的なものをご紹介します。
・故人の源泉徴収票(給与や年金がある場合)
給与がある場合は、勤め先の総務や経理の方に問い合わせて取得します。年金収入がある場合、日本年金機構に問い合わせて取得します。その年の最初の支給日までの間に亡くなった場合には、その年分の源泉徴収票は発行されません。
・故人の控除を証明する書類
生命保険料控除、社会保険料控除、地震保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、寄附金控除の計算などで使用する書類です。これらの支払いがあり、手元に資料がない場合はそれぞれ支払先に問い合わせて取得する必要があります。
・故人の医療費の領収書
1月1日から亡くなった日までに使った医療費がある場合には、医療費控除を受けることができます。故人の医療費だけでなく、生計を一にする配偶者や親族のために支払った医療費も対象となります。また医療費控除は、生前中に実際に支払った金額のみが対象となりますので、相続後に相続人が支払った故人の入院費は対象にはなりません。
一方、相続後に支払った医療費は、生計を一にしていた相続人の確定申告で医療費控除が使え、さらに相続税の計算上、債務控除として財産額から差し引くことが可能です。故人の所得の状況に応じて他の資料(事業所得がある場合は故人の収入の状況がわかる通帳、不動産所得がある場合は賃貸契約書や通帳、譲渡所得がある場合は不動産売買契約書や仲介手数料の領収書など)が追加で必要となりますので、国税庁のホームページで確認しましょう。
②申告書を作成する
必要書類が揃ったら、いよいよその資料を基に申告書を作成していきます。
・確定申告書(第一表、 第二表)
国税庁のホームページからダウンロード、もしくは最寄りの税務署で申告書の用紙を取得し、手書きで申告書を作成することも可能ですが、オススメは国税庁のホームページ上にある「確定申告書等作成コーナー」での作成です。
質問された内容に答えるだけで、申告書が作成できるという優れものです。こちらで作成したものをプリントアウトすることで、申告書を完成させることができます。
ただし普通の確定申告と同じ様式で印刷されますので、準確定申告であることがわかるように第一表と第二表に「準確定」の文字をタイトル部分に手書きで加える必要があります。
控除のポイント
なお、配偶者控除や扶養控除などの判定は、亡くなった日時点で行います。また控除額の月割計算は行いませんので、年の中途で亡くなった場合でも丸々控除を受けられます。
付表をつけるのを忘れずに!
確定申告書付表は相続人等が連名で記載するもので、準確定申告の場合だけ特別に必要になる書類です。次の事項を記載します。
○故人の氏名、住所、死亡年月日、納税額
○相続人各人の住所、氏名、続柄、マイナンバー、相続分、相続財産の価額(準確定申告をする際に把握できている金額でOK)、所得税の納税額
なお、他の相続人にマイナンバーを知られたくないなどの理由で連署したくない場合は、内容を他の相続人に通知すれば、別々で提出することもできます。不動産所得や事業所得がある場合は、上記に加え、
決算書なども作成する必要があります。
なお、所得税が還付になり、相続人の1人が代表として還付金を受け取る場合には、委任状(令和7年以降も押印必須・認印可)の作成も必要となります。国税庁のホームページにフォーマットがあるのでそちらを使用しましょう。「準確定申告 付表」で検索すれば出てきます。
③税務署に提出して納税する
準確定申告書が完成したら、故人の住所を管轄する税務署へ提出しましょう。相続人のマイナンバーを記載する場合は、マイナンバーカードや本人確認書類の写しも一緒に提出します。提出は、税務署の窓口に直接持っていくか、郵送による方法を選ぶことができます。
納税については、まず税務署で納付書を入手し、各人ごとの納税額を記入します。そしてでき上がった納付書を税務署か、最寄りの金融機関に持参し、納税したい旨を伝えれば、納税の手続を進めてくれます。申告書の提出と納税が済めば、準確定申告は完了です。
(本原稿は『ぶっちゃけ相続「手続大全」【増補改訂版】』の一部抜粋・加筆を行ったものです)








