中国の徹底した新型コロナウイルス対策の経済的代償がここにきて鮮明になってきた。先週には、中国の長江デルタ地域で感染が広がったことを受けて、多くの工場が閉鎖された。浙江省の紹興および寧波市内の複数の地区では、急きょロックダウン(都市封鎖)が導入されたことで、地元の事業者が納品の遅れによる顧客の苦情対応に追われているほか、上場企業は想定損失額について株主への謝罪を迫られている。中国政府は、2年前に武漢市でコロナ感染が最初に確認されて以降、感染が広がる度にロックダウンや大量検査、隔離措置など徹底した対策でウイルス封じ込めを図ってきた。こうしたコロナに対する「ゼロ寛容」政策により、地元のビジネスや市民の生活には幾度となく支障が生じており、景気への逆風がさらに強まる構図となっている。