コロナ禍からの企業業績の回復は、勝ち組と負け組の格差が拡大して「K字型」に引き裂かれていくという二極化の議論が強まっている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はエムスリー、Zホールディングスなどの「ITサービス」業界5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)
ITサービス5社は
いずれも2桁増収!
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下のITサービス業界5社。対象期間は21年7~9月期としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・エムスリー
増収率:29.6%(四半期の売上収益512億円)
・Zホールディングス
増収率:33.3%(四半期の売上収益3776億円)
・楽天グループ
増収率:12.6%(四半期の売上収益4069億円)
・MonotaRO
増収率:17.8%(四半期の売上収益466億円)
・メルカリ
増収率:51.8%(四半期の売上高336億円)
※メルカリは収益認識に関する会計方針の変更を行っているが、当社の開示方法に準じて、前年同期の売上高と増収率には同変更を遡及適応していない。
ITサービス業界の5社はいずれも前年同期比2桁増収となった。中でもメルカリは前年同期比5割超と、飛びぬけて高い増収率を記録している。この要因の背景には、特殊な事情があった。
次ページ以降で詳しく解説するとともに、各社の増収率の推移も併せて紹介する。