楽天グループの屋台骨を支える「楽天市場」は巣ごもり需要の増加で、かつてないほど活況を呈している。だが、その裏で楽天の出店者に負担を強いるような強引な施策も目立つ。三木谷浩史会長兼社長が率いる楽天市場の「圧政」に出店者は悲鳴を上げている。特集『楽天 底なしの赤字』(全7回)の#6では、楽天経済圏で起きている「異変」の内幕に迫った。(ダイヤモンド編集部 村井令二)
コロナ禍のEC活況で起きた
楽天市場の異変
楽天グループが運営するeコマース(EC)サイト「楽天市場」に出店する、東京で雑貨店を営む企業で、2021年の売れ行きに異変が起きた。
今年に入ってから複数の月で、楽天と競合するヤフーショッピングに出店する店舗の売上高が、楽天市場の店舗売上高を超えたのだ。「楽天とヤフーに出店して10年以上になるが、こんなことは初めて」(出店企業の経営者)という。
過去の実績では、楽天市場の方がヤフーよりよく売れるのは当たり前だった。売上高に10倍近くの差がついたこともあるが、均衡し始めたのは最近になってからだという。
「素直にうれしい」。この経営者がそう話す理由は、楽天による店舗のへの“圧政”に苦しめられてきたからだ。相次ぐ規約変更で店舗の負担は重いが、一方のヤフーは、出店コストが安いだけでなく、無理な規約変更を押し付けられたことは一度もないという。
「楽天は嫌なことが多いが売れる。これに対してヤフーは居心地がいいが売れないというのが今までの常識だったが、環境が変わってきたのかもしれない」とこの出店者は話す。
新型コロナウイルスの感染拡大による巣ごもり需要の増加でECサイトは軒並み活況を呈している。だがそうした中で、楽天経済圏のパワーを落としかねない「異変」が起きている。