中国が世界の荷動きに関するデータを把握する能力を拡大させている。米政府や業界関係者の間では、中国政府がこのデータを商業的、戦略的に利用し、優位に立ちかねないとの懸念が高まっている。中国に寄港することのない貨物でさえ、世界に広がる中国の物流ネットワークを通過するケースが多い。そうした物流システムには、中国から遠く離れた港を通過する貨物を追跡する高度なデータシステムも含まれる。中国政府は物流や情報の管理を通じ、世界の商取引に関する他国には分からない情報を得ることができるほか、それに影響を及ぼす手段も手にする可能性があると、貨物業界関係者は述べている。中国の貨物データシステムの最先端にあるのは「LOGINK」だ。LOGINKは世界の荷主を結ぶデジタルネットワークで、自らを「ワンストップの物流情報サービスプラットフォーム」と称している。公的データベースのほか、45万以上に上る中国国内および世界各地の巨大港湾のユーザーから入力された情報も併せて利用しているという。中国の広域経済圏構想「一帯一路」に参加している港湾や、同国政府による「デジタルシルクロード」構想の一部もデータの対象に入る。