今、シリコンバレーをはじめ、世界中で「ストイシズム」の教えが爆発的に広がっている。日本でも「最重要な仕事の原理原則の一つ、焦らず騒がず他人と比較せず、自分にとって重要なことほどゆっくり構えるヒントになる本」「ただの投資本ではない画期的な哲学書」と絶賛されているのが『THE ALGEBRA OF WEALTH 一生「お金」を吸い寄せる 富の方程式』(スコット・ギャロウェイ著/児島修訳)だ。ライターの小川晶子氏による特別寄稿をお届けする。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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苦労の末に夢をつかんだストーリーに感動するが…
苦節◯年、夢を追いかけ続けてやっとつかんだ成功。
食うにも困る辛い生活を耐え、あきらめずに頑張ってきた……
あなたも、そんなストーリーに感動したことがあるのではないだろうか。
テレビ等でも「成功者の不遇時代」は人気コンテンツであるようだ。
あきらめず粘り強く続けること、自分を信じることの大切さなど学びがたくさんある。
ただ、それが感動ストーリーになっているのは、現在成功しているからだ。
不遇のままあきらめざるをえなかった敗者のストーリーはめったに語られることがない。
なぜ「夢を追い求めろ」は最悪のアドバイスなのか?
日本でもベストセラーとなっている『THE ALGEBRA OF WEALTH 一生「お金」を吸い寄せる 富の方程式』の中で、著者のスコット・ギャロウェイ氏は「夢を追い求めろ」というアドバイスの問題点を指摘している。
情熱を傾けられるものを見つけ、夢に向かって頑張れ!
という言葉は、一見とてもよいアドバイスだ。
しかし、ギャロウェイ氏によれば、「最悪」ともいえる場合がある。
問題点① 情熱の対象がわからない
スタンフォード大学の心理学者ウィリアム・デイモンによれば、26歳未満の人のうち、将来の夢をはっきり答えられる人はわずか2割しかいない。
(――『THE ALGEBRA OF WEALTH 一生「お金」を吸い寄せる 富の方程式』p.124)
「夢を追いかけろ」と言われても、本当にやりたいことが明確になっている人のほうが少ないのだ。
そのうえ、やりたいことがあると思っている人も、周囲の意見に従っているだけというケースも少なくない。若者の夢は変わりやすく、影響を受けやすい。
「夢を追いかけろ」というアドバイスは、プレッシャーにしかならないおそれがある。
問題点② 「搾取される覚悟をしろ」という意味に等しい
(中略)
エンターテイメント業界など、外からは華やかに見える業界の少数の権力者は、安く使える才能の原石が常に業界に流れ込んでくるのを知っている。
(――『THE ALGEBRA OF WEALTH 一生「お金」を吸い寄せる 富の方程式』p.126-127)
俳優、ミュージシャン、YouTuberなど、外からは華やかに見えるが、成功しているのはごく一部でしかない。
そして、その職業を夢見る人たちはごく少ない報酬、場合によっては無給で働くことがある。
「夢を追い求めろ」は、「搾取される覚悟をしろ」の同義語なのだという。
長いこと経済的自立を実現できないとしたら、いつかあきらめざるをえないことになるだろう。
能力を発揮するのが先
では、夢を追い求める前に何をすべきなのだろうか?
ギャロウェイ氏は、「自分が能力を発揮できる仕事を見つけ、忍耐強く数千時間を費やして技能を磨き、道を究めること」だと言っている。
その結果、その仕事が何であれ、情熱を傾けられるようになる。
(――『THE ALGEBRA OF WEALTH 一生「お金」を吸い寄せる 富の方程式』p.124)
最初から情熱を傾けられるものを探すのではなく、ある程度「好きだ」と感じるものであれば一生懸命やってみる。得意になり、習熟度を高めていけば、情熱を持てるようになるということなのだ。
とくに、才能のあることをやるのがいい。上達が早く、収入が上がりやすいからだ。
才能とは、他人にはできない(またはしようとしない)が、あなたにはできる何かのこと。
自分では当たり前だと思っていることが、実は他人にとっては難しいことだったりする。
本書には「才能の見つけ方」のヒントも載っている。
今、情熱を傾けられるものがないと思っている人にも、本書のアドバイスは非常に役立つだろう。
(本書は『THE ALGEBRA OF WEALTH 一生「お金」を吸い寄せる 富の方程式』に関する書き下ろし特別投稿です)









