1990年代の中頃に、
成長率の顕著な屈折点
日本の賃金が長期にわたって停滞しているが、ここからの脱出は、2022年の日本にとって最重要の課題だ。
そのためには、なぜこのような長期停滞に陥ったかの原因を知る必要がある。
まず、経済指標の推移を見よう。
図表1に示すように、日本の名目GDP(国内総生産)は1990年頃までは高い成長率で成長した。しかし、90年代中頃からはほとんど変化しなくなった。このように90年代の中頃に、成長率の顕著な屈折が見られる。
日本の経済指標が名目値で90年代中頃以降は成長しなくなったが、これは名目GDPに限ったことではない。
法人企業統計で見ると、企業の売上高もそうだ。売り上げに対する原価の比率もほぼ一定だ。したがって付加価値も増えない(これが、名目GDPが増えないことと対応している)。そして分配率もほとんど変わらない。
このため、賃金の支払い額がほぼ一定の値になっているのだ。