ひろゆきの質問はなぜ人を引きつけるのか、最短距離で核心を突く極意写真提供:ABEMA

著書『1%の努力』が38万部を突破するベストセラーとなり、日本で大ブレイク中のひろゆき氏と、昨年10月に『超ファシリテーション力』を上梓(じょうし)したテレビ朝日アナウンサー・平石直之氏。二人は、「ABEMA」で放送中のニュース番組「ABEMA Prime」で共演している。率直な物言いと白熱した議論が特徴の同番組では、討論の専門家=猛獣たち(ひろゆき氏もその一人)が激しい意見の応酬を展開。それらを猛獣使いのように交通整理し、議論が深まるように場を進行させるのが、平石氏の仕事だ。そんな二人の対談を前、後編にわたってお届けする。前編では、白熱した議論をリードする二人にファシリテーションのコツや質問力、炎上に対する考え方を聞く。(構成/正木伸城)

アベプラの“猛獣使い”平石アナに聞く
良いファシリテーションのコツ

――平石さんは、「ABEMA」で放送中のニュース番組「ABEMA Prime(略称:アベプラ)」で進行を務められています。平石さんが、議論をファシリテートする上で常に心がけていることは何ですか。

平石 まずは、番組としてやりたいこと、番組の方向性をきっちり受け止めるようにしています。その上で、その場で出た皆さんの意見と方向性をすり合わせるのがファシリテーションです。私は、自分が「こうしたい」と思うことよりも、番組の意図やゲストMC(出演者)が伝えたいと思っていること、目指していることを重視しています。番組内の私は、基本的に「受け身」の姿勢ですね。

ひろゆき 平石さんって出演者のことをよく勉強されていますよね。それぞれが何を言うかに仮説を立てて、番組内でもその仮説を軸に話を進めている印象です。

平石 例えば、ゲストの著作や直近のメディア、SNSでの発信などについて、事前に調べます。すると、「この人は、最近はこんなことを考えているんだな」ということが分かる。だから、「本番ではきっとこういう展開になるだろう」という仮説が立てられるんですね。

 ただ、本番ではそうした仮説はいったん横に置きます。本番は想定どおりにはいかないですから。ゲストのスタンスが想定とは異なるなんてことはザラにあります。下調べにとらわれていたら、柔軟に対応できない。

 事前準備なくして良いファシリテートはあり得ないと思いますが、それにとらわれ過ぎるのも問題なんです。

ひろゆき 準備した仮説が間違っていた場合、平石さんは焦らないんですか。