アニメ映画『劇場版 呪術廻戦 0』が、昨年12月24日に公開されてさっそく大ヒットとなっている。1月3日までの累計が動員431万人、興行収入58億円で、総合映画情報サイトの映画.comによれば国内映画ランキング1位を2週連続で獲得しているとのこと。連載当初から身をよじるくらい夢中になったおじさんライターが、その魅力を伝えたい。(フリーライター 武藤弘樹)
スタートから首位を独走
映画版『呪術廻戦』がヒット中
少年マンガ原作のアニメは、『鬼滅の刃』で一段とポピュラーなものになった。『呪術廻戦』も、売り手と受け手が「第二の鬼滅を」と求める空気の中で注目が高まっていった作品であるが、少年ジャンプで原作を読んでいた筆者はその面白さに毎週身をよじっていたから、現在の『呪術』人気にはおおいに納得である。むしろ少年マンガ好きおじさんらしく、一層増長して「ほらな、おれは最初から目を付けていたんだよ」と自慢して回りたい気分である。
さて、この度『劇場版 呪術廻戦 0』を鑑賞してまいったので、その感想を述べたい。端的に言って最高であったので、『呪術廻戦』になじみのないアニメファン、マンガファン、映画ファン、エンタメ好きな全ての人に推薦したい作品である――ということを力説するつもりである。
原作はファンの間で人気の『0巻』
期待と不安で注目される映画化の仕上がりは
『劇場版 呪術廻戦 0』の原作は、『呪術廻戦 0東京都立呪術高等専門学校』というマンガである。このマンガは『ジャンプGIGA』に連載された作品で、その後に、人気を博すこととなる本編『呪術廻戦』の連載がスタートした。『東京都立呪術高等専門学校』は本編『呪術廻戦』の前日譚であり、のちに単行本化された。ファンの間で「0巻」と呼ばれ、強く支持されている。
筆者は0巻を連載時に読んで激しい衝撃を受け、アプリか電子書籍かは忘れたが、購入して何度も読み返し、単行本もめったに買わないのにその0巻は買って、家宝を抱く思いで大事に大事にしていた。
最近のマンガは長尺化が進んできていて、ひとつの結末に至るまでかなりの話数を必要とするが、『呪術』の0巻は、たったの1冊で始まりから終わりまで起承転結がグッと凝縮されている。少年マンガに求められるかっこよさ、青年マンガに見られるヘビーさ、恋愛マンガに見られる切なさと美しさが軽快なテンポで次から次へと展開され、さらにミステリー好きをうならせるであろう、あっと驚く隠された真相まで用意されていて、エンタメの極致と言いたいくらいの仕上がりである。
その神作品の映画化である。