中国政府はこれまで、自国が罰したいと望む国々からの輸入を止めるという行動で広く知られてきた。昨年は、オーストラリア産ワインがその標的にされた。今度は、リトアニアに圧力をかけている。リトアニアは最近、首都ビリニュスに台湾が代表機関「台湾代表処」を開設するのを認めた。しかし、リトアニアへの報復には新たな趣向が加えられていた。中国はリトアニアからの輸入だけでなく、同国製の部品が使われた全製品の輸入を差し止めたのだ。その影響は欧州全域に波及している。2020年のリトアニアの対中輸出額は3億5000万ドル(約406億円)で、それ以前の何年間かと比べて増加していたが、全貿易額に占める比率は極めて小さかった。リトアニアの対中貿易では、かなり以前から輸入額が輸出額を大きく上回っており、昨年の輸入額は輸出額の約4倍だった。このためリトアニア政府は、台湾絡みの問題での中国の制裁がどんな内容であっても、リトアニア経済がそれに対処できると考えていたのかもしれない。
【寄稿】リトアニアを人質にとる中国
台湾をめぐる貿易報復措置が世界的なサプライチェーンに波及
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