ロシアの金融市場が想定外の圧力にさらされている。ロシアがウクライナ侵攻に踏み切る可能性や、隣国カザフスタンを突如見舞った政情不安を巡り、投資家が懸念を強めているからだ。ルーブル相場は今週、対ドルで8カ月以上ぶりの安値となる1ドル=77ルーブルまで下落した。7日にはいくぶん持ち直したものの、ソブリン債はルーブル建て、ドル建てともに売り込まれている。満期2023年のドル建てロシア国債と米国債の利回りスプレッドは、昨年11月の約50ベーシスポイントから足元では100ベーシスポイントに拡大。主要株価指数のMOEXロシア指数は昨年10-12月期に8%下落し、今週も一段安となった。好調なロシア経済や、高値圏にある原油価格、中央銀行が通貨防衛のため数回利上げを行ったことなどを踏まえると、これは理屈に反する動きのように見える。だが投資家は、ロシア市場を動かしているのは経済ではなく地政学だと指摘する。