米バイオ医薬品大手バイオジェンは10年以上にわたり、アルツハイマー病の新薬の開発に取り組んでいた。その薬は、年間売上高が10億ドルを超える「ブロックバスター」になる可能性があるとみられていた。初期の臨床試験(治験)の結果は非常に良好で、バイオジェンは薬事承認に向けて残りの治験を急いだ。米国では600万人がアルツハイマー病を患っており、その進行を遅らせる薬が約20年ぶりに販売される可能性が高まったことで、同社の株価は急騰した。しかしその後、バイオジェンは考えを一転。治験を突然中止する異例の決断を下し、この薬は有効ではないと発表した。ところがその後、治験を再開し、やはり薬は有効だったと表明した。米食品医薬品局(FDA)は6月、有望な治療法の審査を迅速化する「ファストトラック」プログラムに基づき、この薬を承認した。ただし、その効能についてはFDA内で意見が割れていた。
バイオジェン認知症薬、判断ミスが招いた顛末
治験中止を巡る判断、効果が十分証明されていない治療薬を生むことに
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