動き出すウォール街の巨人たち

 2021年は、米国を中心に機関投資家や大手企業による業界への参入が、一気に加速した年でした。以下は、機関投資家や大手企業の主な動きをまとめたものです。

ブラックロックが、ビットコイン投資を念頭においた二つのファンドを認可
モルガン・スタンレーが、ビットコインのファンドに対する富裕層の顧客のアクセスを許可
BNYメロンが、顧客の代わりにビットコインの保有・送金をするサービスを発表
ステート・ストリートが、デジタル資産向けの取引プラットフォームに必要なインフラを提供すると発表
・金融サービス会社コーウェンが、ヘッジファンドなどに暗号資産のカストディサービス(投資家に代わって有価証券の保管・管理などを行うサービス)提供を計画していると発表
・ヘッジファンドのPoint72が、暗号資産投資を検討していると発表
JPモルガンが、富裕層の顧客に対して暗号資産ファンドへのアクセスを許可
・資産運用会社ニューバーガー・バーマンが、1億6400万ドルのコモディティ特化のミューチュアルファンドでビットコインとイーサリアムに間接的に投資できるように許可
・資産運用会社フランクリン・テンプルトンが、ビットコインとイーサリアムのトレーダーを募集していると発表
ジョージ・ソロスのファミリーオフィスが、ビットコインに投資していたことが判明
JPモルガンが、富裕層の顧客向けにビットコインファンドを立ち上げ
ハーバード大学、エール大学、ブラウン大学の基金が2020年以降でビットコインを購入していたことが判明

 また、2021年、新たに暗号資産に興味を示し始めたウォール街の重鎮も複数いました。

 例えば、ヘッジファンド運営会社ブリッジウォーター・アソシエーツの創業者レイ・ダリオはビットコインについて「大した発明だ」と発言し、ビットコイン投資によって法定通貨の価値減少を防ぐことを目指すファンドの立ち上げを検討していると明かしました。投資会社オークツリー・キャピタル・マネジメントの共同創業者ハワード・マークスは、以前はビットコインを本質的な価値がないと言って否定していましたが、最近になってこうした考えを改めました。

 スカイブリッジ・キャピタル創業者アンソニー・スカラムッチは、ビットコインは債券や金を持つことと同じぐらい安全と発言し、チューダー・インベストメント創業者ポール・チューダー・ジョーンズはインフレヘッジとして金よりビットコインを好むと述べ、バリー・スターリヒトは「西半球の全ての政府が無制限にマネーを刷る」のでビットコインを保有していると話しました。



 また、伝統的な金融企業や投資家の間では、暗号資産系の投資ファンドに直接投資する動きも見られ、暗号資産関連の投資を手がけるファンドの預かり資産(AUM)は急増。2021年1月の362億5000万ドルから、2021年10月には596億ドルまで増えました。