ワクチン接種率8割の豪州、オミクロン株急拡大で景気回復に暗雲Photo:PIXTA

オミクロン株の流入でオーストラリアでは、新型コロナウイルスの感染が急拡大している。“ウィズ・コロナ”にかじを切り、行動制限などを緩和していた動きにブレーキがかかりつつある。回復に向かうとみられていた景気の先行きに暗雲が垂れ込みつつある。(第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト 西濵 徹)

ワクチン接種率は約8割
“ウィズ・コロナ”戦略へ転換したが

 2021年、オーストラリアは、感染力の強い変異株(デルタ株)の流入による新型コロナウイルスの感染拡大に見舞われた。その中心地である同国第2の都市メルボルンでは“世界最長”の都市封鎖(ロックダウン)が実施されたほか、最大都市のシドニーにおいても都市封鎖などを通じた行動制限が課された。

 その結果、幅広く経済活動に悪影響が出た。21年7~9月の実質GDP(国内総生産)成長率は前期比年率マイナス7.47%と5四半期ぶりのマイナス成長となり、景気に急ブレーキがかかった。

 他方、オーストラリアでは22年5月までに連邦議会下院(代議院)総選挙が予定されており、“政治の季節”が近付いている。行動制限の長期化を受けて、若年層を中心にモリソン政権の新型コロナ禍対応への不満が高まる事態を招いている。

 政府はワクチン接種が進展していることを受けて、強力な行動制限を伴う『ゼロ・コロナ』戦略から、ワクチン接種を前提に経済活動の再開を図る“ウィズ・コロナ”戦略への転換を図った。