トンガと日本の地勢「共通点」、大規模噴火を“他山の石”とせよ南太平洋にあるトンガ王国のフンガトンガ・フンガハアパイ火山で大規模な噴火が発生した Photo:EyePress News

南太平洋のトンガ付近で大規模な噴火が発生し、その津波は日本にも到達した。噴火やその被害など全容はまだ明らかになっていないが、神戸大学海洋底探査センターの巽好幸客員教授は日本とトンガの共通点を指摘した上で、「日本は大規模噴火を他山の石とせよ」と警鐘を鳴らす。トンガで何が起きたのか。巽教授に緊急寄稿で解説してもらった。

トンガ巨大噴火の噴煙の高さは20キロ超
富士山貞観噴火を一けた上回る規模か

 1月15日、南太平洋にあるトンガ王国のフンガトンガ・フンガハアパイ火山で大規模な噴火が発生した。

 この火山は昨年から活動を続けていた。15日の噴火の噴煙は20キロ超の高さまで立ち上がって成層圏に達し、2000キロ以上離れたニュージーランドでも爆発音が聞こえたという。

 噴火の詳細はまだ不明な点が多いものの、噴煙の規模からすると、世界的な寒冷化も引き起こした1991年のフィリピン・ピナツボ火山の噴火と同程度以上で、約100億トン超のマグマを放出した「巨大噴火」だった可能性がある。

 これは日本史上最大規模の864年の富士山貞観噴火や、1914年の桜島大正噴火を一けた近く上回る規模だ。

 電話やインターネットがつながりにくいため現地の被害状況は明らかではないが、日本や北米、中南米など環太平洋沿岸で津波が観測され、わが国でも漁船が転覆するなどの被害が出た。

多くの被害を出してきた火山津波
日本では1792年に1万5000人の犠牲者

 津波は、東日本大震災のように海溝型地震に伴う海底地殻変動が原因で起きることはよく知られている。

 一方で、火山活動に伴う火山津波も、これまでにも多くの被害を出してきた。

 2018年のインドネシア・クラカタウ火山の噴火に伴う津波では、400人以上が犠牲となった。また日本の火山災害で約1万5000人という過去最悪の犠牲者を出した1792年の津波災害(島原大変肥後迷惑)は、島原半島(長崎県)の雲仙岳火山の眉山で起きた火山活動が原因である。

 四方を海に囲まれた火山大国である日本では、この他にも火山津波による災害が頻発してきた。例えば1640年の北海道駒ケ岳や1741年の北海道・渡島大島西山の噴火では、津波の最大遡上高が20mを超え、それぞれ700人以上および1500人近い犠牲者を出した。

 なぜ、火山活動によって巨大津波が生じるのか、